【過保護のカホコ】キャスト
根本加穂子(高畑充希)
過保護のカホコの主人公。正高ビジョン(加穂子の父親の正高が趣味で加穂子を動物にたとえていて見ていること)で見ると加穂子は、「まだシッポの生えているカエル」である。そのシッポは、加穂子の成長の度合いに応じて、短くなったり、長くなったりしている。
産まれたときから、大学生になった今まで、泉による過保護の愛情を大いに受けて育てられてきた。過保護のレベルは、病的なほど高く、加穂子は、朝一人で起きることもできず、泉に起こしてもらっている。さらに、毎日着ていく洋服も、泉に選んでもらっている。
泉の鉄壁の愛情で囲われて育ったため、本当に世間知らずで、自分の誕生日パーティーを3回開かれることに対して、何の違和感も抱いていない。
毎日、夕食後には、正高の買ってくる、おやつを食べながら、幼少期から撮りためている自分のビデオを家族で見るのが日課になっている。
また、親戚である、泉の実家の祖父母や、正高の実家の祖父母にも、とにかく可愛い、可愛いと、猫かわいがりされている。
しかし、加穂子が可愛いことは事実で、それは見た目だけではなく、加穂子は、人を疑うことを知らず、いつも真っ直ぐで、「大好き!」と、下心なく心からの愛情表現をすることができるのだ。
加穂子の口癖は、「わたし、こんなのって生まれて初めて」である。逆に、自分の意見が上手く言えないときは、変顔になってしまう癖がある。さらに、感情が高ぶると、後先考えずに、とにかく全力で走り続ける。
加穂子の遅めの初恋となる相手が、麦野である。麦野と出会ったことをきっかけとして、加穂子は自立への道を歩み始める。
加穂子が成長するにつれて、泉との関係にはヒビが入ってしまう。麦野のことが原因で、二人は初めてケンカしてしまう。しかし、加穂子は、泉よりも、麦野のことを優先することになる。
加穂子が、泉へ謝ったことで、一見、二人の仲は元通りになったように見えるが、今後は、ライバルのように、お互いを意識し、火花を散らす関係に変わっていきそうだ。
加穂子の麦野への想いは、晴れて両想いとなったが、加穂子の相変わらずのマイペースすぎる態度に、麦野は、早くも心が冷めてしまいそうな雲行きである。
家族の中で、唯一、初代の抱えていた重大な秘密を知ることになった、加穂子は、今後、家族のために、どのように奮闘していくのだろうか。
そして、加穂子の初めての恋は、どのような結末を迎えるのか。麦野と結ばれる日は来るのだろうか。麦野も言っていたように、今後の加穂子からも、決して目が離せなさそうだ。
糸との三角関係の行方にも、ぜひ注目したい。
根本泉(黒木瞳)
加穂子の母親。正高ビジョンは、ミーアキャット。家族を大事にする習性を持つが、正高の行動には常に目を光らせていて、家事を少しでも乱そうとするものなら、素早く苦言を放つ能力を持つ。
人生の全てを、加穂子に捧げて生きてきた。毎朝、加穂子を起こし、お弁当を作り、駅まで送るという、加穂子中心の毎日だ。
料理の腕も、家事能力も、素晴らしく、家のことは全て完璧にこなしている。実家である並木家の家族のことも、本当に大切にしているし、正高の実家へ行くことも、決しておこたらない。
しかし、泉には一つだけ弱点がある。それは、自分の得意とする慣れ親しんだ場所以外では、まるで借りてきた猫のように、別人のように大人しくなってしまうことだ。
その泉の生活圏内と圏外は、正高が「国境」として、分かりやすく地図に示してくれている。それによると皮肉なことに、泉の国境は、ハートの形をしていて、とても可愛らしい。
加穂子が大学生になるまで、ずっと、加穂子とラブラブな両想いの生活を送ってきたわけだが、加穂子の前に、麦野が現れたことで、泉の平安は、激変していく。
加穂子の麦野への想いを、どうにか止めようとするが、そうすればするほど、加穂子は麦野を好きになってしまう。泉は、次第に、自分が加穂子に必要とされていないと感じるようになる。
泉は、家出をして実家に帰ったときに、姉妹である、環と節に対して、「自分は誰からも愛されていないのではないか」と、いつも不安に思っていたことを打ち明けている。
泉にとっての、唯一の信じられる愛こそが、加穂子だったのだ。正高の気持ちを思うと、むせび泣きたくなるような事実である。
しかし、加穂子が、麦野の交際宣言を受けて、自立を決意してから、泉は、それまでの態度を一変する。なんと「放任主義」を宣言したのだ。
今後は、加穂子と泉の、これまでに無い、火花の散るやりとりが見ものとなりそうだ。
麦野初(竹内涼真)
加穂子の初恋相手。美大生で、加穂子と同じ大学に通っている。正高ビジョンは、オオカミ。泉に、麦野くらいの歳の男の子はみんな、オオカミだと言われたこともある。
奨学金で大学に通っているため、いくつものバイトを掛け持ちしている。これまでに分かっているもので、ピザ屋の配達、ティッシュ配り、コンサートホールの整理、工事現場、のバイト経験あり。
将来の夢は、ピカソを超えることだと豪語している。しかし、先生からは、お前に絵の才能は無いと言われ、絵の方向性にも行き詰まっている。
しかし、加穂子に、人物画をベタ褒めされたことがきっかけで、加穂子をモデルとして人物画をデッサンするようになる。
幼い頃から、苦労な生い立ちで、7歳のときに、母親に捨てられてしまう。その後は、施設で高校卒業まで過ごしていたらしい。
加穂子の告白を、2秒で振った記録保持者。
麦野とは、まるで育ち方の違う、加穂子のことを、最初は目の敵のようにしていたが、次第に加穂子の純粋な性格に引かれていく。
危なっかしい加穂子のことは、なんだかんだ、いつも面倒を見てしまっていたが、加穂子が、麦野のために川に飛び込んだことが、決定打となって、麦野も加穂子のことを好きになる。このときの、彼のお姫様抱っこは、今や伝説。
その後、麦野は、わざわざ、泉と正高に、交際の許可を取りに行った。しかし、そのときは、彼は、正装では無かったため、改めて後日出直してくると言い残した。こういうところが、本当に律儀な男である。
晴れて、加穂子とお付き合いが始まったわけだが、早くも、トラブルが起きてしまうらしい。初代の命が残り少ないことを知った加穂子が、ひ孫を見せたいがために、テンぱって麦野に、結婚を迫るんだとか。
麦野も加穂子も、お互いに、恋に関しては不器用だ。これからも、ちょくちょくトラブルを起こすことだろう。
また、彼の、生き別れになってしまった、母親と、もう一度、再会することはあるのだろうか。やたらと、加穂子がそのことを気にしているので、ほんのりと期待したいところである。
国村衛(佐藤二朗)
環の夫。正高ビジョンは、おしどり夫婦のカモ。警察官で、警察署に勤務している。とにかく、環のことが好きで好きで、たまらないのが見ていてよく伝わってくる。
穏やかで、いつも笑顔で、何の悪いところも、見当たらないのだが、実は、お酒が大好きで、飲み始めると正体を失うまで飲んでしまうという欠点がある。そして、それがきっかけで環とケンカをすることに。
警察官として仕事をする中で、酷い事件を取り扱うことが多く、精神的に疲れてしまった衛は、結婚して以来、ずっと絶っていた、お酒を、つい飲んでしまったのだ。
持病を抱えている、環を不安にさせてしまい、衛は自分の取った行動を後悔することになる。しかし、その後、環とは和解できたようだ。きっともう、お酒は一滴も飲まないことだろう。酒は飲んでも飲まれるな、である。
加穂子のことを、可愛がり、いつも環と一緒に、笑顔で見守っている。加穂子に、環とのなれそめ話を聞かせて欲しいと言われると、顔中をしわくちゃにして嬉しそうにしていた。
警察官としての姿が、あまり見れていないので、これから仕事をする衛の姿も見てみたい。
国村環(中島ひろ子)
泉の妹で、次女。幼い頃から、喘息をわずらっていて、身体が弱い。そのせいで長年、独身を貫いていたが、2年前に衛と出会い、結婚する。周りがうらやむ「おしどり夫婦」である。正高ビジョンは、衛と同じくおしどり夫婦のカモ。
加穂子の麦野への想いに、一番早く気がつき、加穂子に「恋」がなんたるかを教えた人。加穂子のよき理解者で、その初恋を誰よりも応援していて、加穂子に会うたび、恋愛相談に乗っている。
衛との仲は、熱々だけれど、衛が結婚してからずっと絶っていたお酒を、飲んでしまったことで、ケンカをしてしまう。結局、仲直りできたものの、ケンカした疲れが出たのか、持病の発作が出てしまい、入院することに。しかし、その後、無事に退院する。
ところが、泉と節の家出に続いて、環までも実家に帰ってきてしまう。しかも、その家出の理由は、「幸せが怖い」という意味不明なものだった。泉と節には、心配しすぎなんだから、となだめられるが、環、本人はいたって真剣そのもの。
環は、自分とは違って健康に産まれた泉と節に劣等感を抱いていたことを打ち明ける。しかし、新婚ならではの悩みをこじらせただけの環は、その後、無事に衛と元通りの関係に戻る。
今後も、持病の喘息の不安は付きまとうと思うが、衛の献身的な愛情もあることだし、どうにか二人で乗り越えていって欲しい。
根本多枝(梅沢昌代)
正高の母。正高ビジョンは、コアラ。まるで、子供を背におぶっているコアラのようだからだ。つまりは、いつまでも教子というお荷物を背負ったままだからだ。
正高に対して、いつも正興や、教子の愚痴を言っている。しかし、教子に対しては、なかなか、はっきりとは物が言えないようだ。やはり、娘に過保護なのである。その結果、教子は、自立できない親にパラサイトする状態になってしまったのだ。
しかし、教子が家出したことには、内心ではホッとしているようだ。嫌味を言ったら家出してしまった正興のことも、ついでにいなくなってくれてラッキーとしか思っていないらしい。
実は、誰よりもストレスを抱えていたのかもしれない。二人に家出されて、晴れて独り身となった多枝は、正高に嬉しそうに報告の電話をかけるのだった。
加穂子や、泉に対しては、とにかく専業主婦は、辞めたほうがいい、ロクな目に合わないと日々、訴えている。加穂子を専業主婦にするつもりの、泉とはまるで正反対の意見だ。そのため、泉から警戒されている。
家族の重圧から、解き放たれて、今は自由を満喫しているようだが、そのうち、その自由が寂しさに変わってくるのに気が付くだろう。でも、今はとりあえず、人生の夏休みを楽しんで欲しい。
根本教子(濱田マリ)
正高の妹。結婚して一度は家を出ていったが、出戻って、現在は、実家に帰ってきている。正高ビジョンは、出戻りの鮭。
根本家の中でも、ダントツのトラブルメーカーで、親に苦労をかけてばかりいる。
実家の二階で、パソコン教室を始めることにしたのは、よかったが、共同出資者の相手に、500万を持ち逃げされてしまった。教子は、借金を抱えたままで、家出することになる。
加穂子に対して、自分と似た空気を感じているが、自分のことを反面教師として生きるようアドバイスしている。
正高には、いつも怒られているので、つい、反抗的な態度を取ってしまう。自分に甘い多枝をいいように使っている。都合の良いときだけ、多枝に甘える姿は、さすがの妹キャラである。
正興のことは、基本的に、眼中に無いようだ。
今は、家出の最中にあるが、実家の他に行き場所があるとも思えない。じきに帰ってくる姿が、たやすく想像できる。
出戻りの鮭の称号に恥じぬよう、荒波にもまれて、とりあえずボロボロになって、世間の厳しさを学んでから帰ってくるといい。
富田厚司(夙川アトム)
節の夫。看護師をしている。いつも、ちょこまかと動いているので、正高ビジョンは、ハムスターである。
糸が、入院していたのは、厚司の病院。厚司は、親族に、自ら糸の病気について説明することになった。
声が小さく、自己主張の少ない人だが、病気になった糸が、反抗期を迎えてしまったことを、節の子育てが悪かったせいだと言ってしまったらしい。それが、きっかけで節は家出してしまう。
家出した節を、迎えにいくときも、とても腰が低かった。節に、暴言が吐けるような男には、まるで見えない。きっと、うっかり失言したことを、節に大げさに受け取られてしまったんじゃないだろうか。
遅すぎる反抗期を迎えてしまった、糸に対しても、特に積極的な態度は取っていないように思える。きっと、今まで何一つ、問題を起こしたことの無い娘の暴挙に、どうしていいのか分からなくて途方に暮れているのだろう。
しかし、節と同様、糸のために必死に働いてきたことは確かだ。糸には、貧乏な家とまで言われてしまうが、夫婦で本当によく働いている。看護師なんて、夜勤もあって、激務だろうに、仕事の大変さや、ストレスを、まるで感じさせず、いつも穏やかな人だ。
家族の心がバラバラになってしまい、今、一番辛い状況にあることは間違いない。血気盛んな、節と糸の間に挟まれて、大変だとは思うが、この困難を乗り越えてこそ、本当の家族の愛を手に入れられるはずと信じたい。
富田節(西尾まり)
泉の妹。三女。正高ビジョンでは、鳥のトンビ。娘の糸のために、人生の全てを捧げているようなところがある。チェロ奏者を目指している糸のために、自らもバイトをして、必要なお金を稼いでいる。
末っ子らしく、いつも明るくて声が大きい。ところが、落ち込むときは、人一倍、元気が無くなってしまう。そんなときは、泉によく甘えているようだ。
糸が、病気でチェロが弾けなくなってからは、娘の性格の変わりように大いにショックを受けてしまう。糸に、「大嫌いだ」と言われたことで傷つき、泉に続いて、実家に家出してきてしまう。
実家に帰っている間に、泉と環に対して、何事も完璧にこなす美人な泉と、明るくて気立ての良い環の存在が、いつも重かったと打ち明ける。節は、自分には何の取り柄もないと考えているようだ。もしかしたら、その報われない想いを、自慢の娘である、糸に向けてしまっていたのかもしれない。
糸が、チェロを諦めてしまってからは、バイトをする理由も、自分の生きがいも無くなり、途方に暮れてしまっている。厚司とも、お前の子育てが間違っていたと言われて、ケンカをしてしまう。
三人姉妹の中で、一番勝ち組に見えていた、節だったが、今や、一番不幸な状態になってしまっている。しかし、末っ子は、負けず嫌いだから、これで終わるはずが無い。
しばらく見れていない、節の笑顔が早く見たいものだ。
富田糸(久保田紗友)
加穂子の従姉妹。正高には、トンビ(節)が、タカを産んだという意味で、タカ扱いされていた。チェロ奏者を目指していたが、手が病気になってしまったせいで、諦めざるを得なくなった。
病気が発覚するまでは、絵に描いたような、おしとやかなお嬢様の雰囲気だったが、病気になったことで性格は一変する。それまで、家族と親戚に対していつも笑顔を絶やさなかったのが、「お前らのことなんか大嫌いだ」という暴言を吐き捨てるようになる。
加穂子が病院にお見舞いにきたことがきっかけで、家族に対して憎悪の本性を出すことになった。ずっと、家族と親戚の期待を、プレッシャーに感じていたようだ。
一時は、非行に走り、警察のお世話にまでなることになる。その際には、衛のお世話になっていた。
ちなみに、手の病気のときに入院していたのは、厚司が勤めている病院だった。家族と親戚を憎悪している割には、ずいぶんと家族と親戚のお世話になっている。
麦野へ好意を抱いているが、今のところ、加穂子に完敗の状態。しかし、本性を出す前は、麦野いわく「ジャストマイタイプ」だったらしい。
ストレートだったロングヘアーをパーマにして、女の子チックだったファッションは、ファンキースタイルへ移行。
彼女なりに、頑張ってどうにか不良になろうとしている姿が、痛々しくて、可愛らしい。
元々は、内に巨大なエネルギーを持っている人のはずだ。じゃなきゃ、あそこまで家族や親戚を罵倒(ばとう)できない。そのエネルギーが、もう一度、チェロへ向かってくれる日を待っている。
並木初代(三田佳子)
泉の母。正高ビジョンは、ゾウ。並木家で、唯一の人格者である。喜怒哀楽の激しい、家族の面々を、それぞれに把握し、全ての行動を見抜いている。
加穂子が、少しずつ成長していく姿を、目を細めて優しく見守り、とても嬉しく思っている。
泉の加穂子への過保護についても、そっと優しく指摘をし、泉に対しても、親として成長をするようにアドバイスをしている。
誰よりもワンパクな夫の福士の行動は、全て受け入れている姿に、愛を感じる。初代が、ふところ深く支えていてくれるからこそ、福士はヤンチャをしていられるのだ。
料理もとても上手で、その料理は、時に若かりし頃の泉が、正高に渡したお弁当に、ちゃっかり使われていたり、失恋した加穂子の食欲が止まらなくなって、泣かせてしまうほどの旨さである。
いつも悩みを抱えている家族たちの聞き手で、自身には何の問題も無さそうに見えていたが、実はとんでも無い秘密を抱えていたことが発覚する。
初代は、死を宣告されるほどの、重病を抱えていたのだ。その事実を、一人胸の内にしまいこんで、家族の誰にも打ち明けられずに過ごしていたのだった。
しかし、偶然に家にやってきた、加穂子に、もうすぐ死ぬという事実を知られてしまうことになる。
初代に頼りっきりで生きている家族のみんなは、これから衝撃的な事実を知らされることになるわけだが、まだ病名は明らかにはされていない。診断書には、心臓の病で、狭心症と書かれてあったのだが。
狭心症は、手術も可能な病気であるし、鬼気迫るような死のイメージはあまりない。ただ、ある日突然に倒れてしまう可能性なら、あるが。
いつも家族の苦労を笑顔で、受け止めてきた初代だ。どうか、病気が何かの間違いであって欲しいと願わずにはいられない。
並木福士(西岡德馬)
初代の夫。正高ビジョンは、ウサギ。いつも、やりたい放題で、気分屋。言うことが、ちょくちょく変わる。
孫の加穂子と糸を、でき愛している。
家族のパーティーでは、初代が美味しい料理をたくさん作っているにも関わらず、いつもなぜだか宅配のピザを頼みたがる。たぶん、この人こそが家族の中で、一番の子供である。
家出をして帰ってきた娘たちに、思いがけず、そろいもそろってダメだしをされ、逆ギレして、自分も家出をしてしまう。向かった先は、加穂子の家。しかし、すでに加穂子の家は、衛、厚司、正興で、満員状態だった。
福士は、娘の夫たちである、正高、衛、厚司の三人から、嫁である初代を褒めちぎられ、ここでもまた、逆風を浴びることになる。自分がワガママな夫であることすら自覚していない彼には、もはや正高たちと何一つ、話をかみ合わせることができないのだった。
挙句の果てに、福士は、加穂子にまでダメだしをされてしまい、とんぼ帰りのように、家に戻ることになる。
しかし、今後、福士の境遇は一変することになる。嫁の初代が、死の宣告を受けるほどの重い病をわずらっているのだ。そのことを、まだ彼は知らずにいる。
すでに、加穂子に初代の病について知られてしまった今、福士が、その悪夢のような現実を叩きつけられる日は、そう遠くはない。そのときになって、初めて、福士は、自分がどれほど恵まれた幸せな場所にいたのかということを、思い知ることになるだろう。
初代にとっての、一番の悩みの種が、この福士という悪気の無い愛すべき少年の面倒を、自分亡き後、一体誰に任せればいいのだろうかということだろう。
福士よ、今こそ大人になるとき。少年よ、大志を抱け。
根本正興(平泉成)
正高の父親。正高ビジョンは、ナマケモノ。正興は、正高ビジョンで、与えられた動物の姿が、一番しっくりと来る人物である。まさに、ナマケモノを地でいって生きているような人間なのだ。
登場するときは、ほぼソファーに深く腰をかけて、起きていても、目は、ほとんど開いていないありさまだ。その姿、顔、形、どれをとっても、なまけ者……いや、ナマケモノにしか見えないのである。
正高には呆れられ、教子にはバカにされ、多枝から、「居ないもの」とされている。
何を聞かれようが、いつだって返事は「明日な」、この一言に尽きる。
加穂子が、誕生日で家に遊びに来ようが、教子が、騙されて多額の借金を抱えようが、正高が、家出して家に帰ってこようが、正興の、我関せずのスタンスは、決して動じない。
ただ、加穂子が、遊びに来たときには、「ばぁばには内緒な」と言って、おこづかいを手渡すのが恒例行事のようだ。しかし、それは多枝とて同じこと。その事実は、加穂子のみぞ知る。
あまりにも、存在感が無くて、発言も、ほぼゼロに近いため、たまに息をしているのか観ていて不安になってくることがある。口を開けたまま、天井を仰いでいるときなんかは、まさか死んでるんじゃないだろうかと、ドキドキしてしまうことも。
教子が、多枝と借金のことで、もめて家出してしまったときに、正興は、多枝から八つ当たりをされてしまう。それが、きっかけとなって、彼もまた家出してしまうことになる。それにしても、このドラマの登場人物たちは、家出が多すぎる。家出していない人を、探すほうが大変なんじゃないか?
多枝が、正興に対して、冷たい態度を取ってしまうのも、分からなくはない。正興は、誰かの悪口を言ったり、足を引っ張ったりするようなことは決してしないが、良いことも何もしないのだ。
困り果てている多枝に、何一つ気のきいたことも言えず、いつも結論は「明日」へ持ち越しし続けているだけだ。
でも、私は、実はナマケモノは、走るとき、めっちゃ早いということを知っている。
根本正高(時任三郎)
加穂子の父親。保険会社に勤務している。自身のビジョンは、ライオン。親族たちを、SNOWアプリのように、動物の姿になぞらえて、たとえるという趣味を持つ。しかし、そのたとえ方は、納得のいくもので、親族たちのことを、客観的によく理解できていることが分かる。
自分自身のことは、メスにボスであると認めさせないと、群れを追い出されてしまう、哀れなライオンであるとし、まさに、メスである泉と、加穂子に、常に気を使って生きている。
幼少期から、撮り続けられている加穂子のビデオは、全て、正高が撮ったものだ。
仕事が終わると、毎日必ず、加穂子と泉のために、おやつを買って帰るのも日課になっている。
また、就職先が、なかなか決まらない加穂子のために、自分の勤めている職場の上司に、コネを頼み込んだこともある。
つまり正高にとって、泉の命令は絶対で、加穂子のお願いもまた、絶対なのだ。
泉が、加穂子に対して過保護すぎることを、ちゃんと認識しているが、そのことを、どちらに対しても伝えることが出来ないでいる。また、自身も、加穂子を、でき愛していることには変わりない。
泉が、麦野のことを、よく思っていないのに対して、正高は、加穂子に対して、はっきりと物を言ってくれる麦野のことを、ありがたい存在とさえ思っている。加穂子が、麦野に振られて、深く落ち込んでしまったときには、わざわざ麦野のところへ頭を下げに行ったほどだ。
泉と加穂子に、怒鳴りつけて家出するという、正高にしてみれば、がけの上から飛び降りるようなことまでしたが、結局は、加穂子からの連絡を待ちわび、泉にお金の催促をされるがまま入金し、家に帰る口実ばかりを探す旅となった。
自分の家庭にも、泉のいきすぎた過保護という問題を抱えているが、それに負けず劣らず、実家の家族にも大きな問題を抱えている。特に、教子が抱えた借金トラブルによって、教子と、正興の二人が家出してしまい、一人、頭を悩ませることになる。
しかし、泉に、家出されたときには、それまで当たり前だと思っていた泉のありがたさを知ったようだ。
今後も、彼のビジョンを通して、ドラマは展開されていくことだろう。
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